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ProjectMeltDown

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VeNus ACT1

ProjectMeltdown
VeNus Fantastic Powder
VeNusact-1


 「幕上がる」はずだがグリーンホール相模大野多目的ホールでは幕を作らないので「照明入る」
       青く、澄んだ光。月光を浴びる女性。歌のお姉さん。


おねえ   見つめるその目は何を見ているの?

      一体。何の前触れ?

      ・・・はじまるのね。一つだけ教えて。

      男たちの心には女神がいるって本当?


       視線が流れ星か何かを追う。


おねえ   理想とたがえばたがうほど面白くなるっていうのに。

       歌のお姉さん、去る。そして去り際。


おねえ   さあ。踊りの時間よ。


       照明、変わる。音楽、入る。
       ダンス。(実はやってない)


声     淵源座!旗上げ公演「ヴィーナス」


       暗転、後、さとしの部屋。
       さとしがいる。


さとし   あ。もしもし、ぼくです。

      予定どおり、引っ越しました。

      相模大野です。

      駅からはちょっと離れてるんですけど。

      便利なので決めました。

      豊町っていうんです。

      いいですよ。家賃もそんなに高くないし、きれいだし。

      これが「相模原デビュー」ですね。

      今年1年、ここでがんばります。

      高校卒業も、大学受験も、今年1年が勝負です。


       インターホンが鳴る。


さとし   あ、お客さん。ええ、またかけます。


       ドアに近寄る。石川さん(嫁)が入ってくる。


嫁石川   こんにちわ。初めまして。

さとし   どおも、初めまして。

嫁石川   向いに住んでいます。石川と申します。

さとし   生駒智司といいます。

嫁石川   主人も連れて来たかったんですけどね。

      この時間、起きなくて。

さとし   はあ。

嫁石川   若いわねー。

さとし   まあ、高校生なもんで。

嫁石川   偉いわねー。高校生でひとりぐらし?

さとし   はあ、受験とかあるんで、自分の部屋ほしくて。

嫁石川   そう。勉強できそうね。家事は?

さとし   まあ、ひととおりは。

嫁石川   何か困ったことあったら言ってね。

      廊下はさんでお向かいだから。主人もいつでもいるし。

さとし   何をなさってるかたですか?

嫁石川   プログラマーなの。9割方在宅勤務ね。

さとし   仲。よさそうですね。

嫁石川   ええ、もう、ラブラブ。

      いっつもいちゃくらしてるのよー。

さとし   はあ。

嫁石川   あ!これお祝い!

さとし   へ!?何ですかこれ。

嫁石川   主人がつくったエクストラCD。音だかならオーディオ。

      パソコンで開くといろいろ入ってるわ。

      マックでもウィンでもドリキャスでも、開けるようにしてあるか
ら、

      とりあえずぶちこんでみて。(婿石川曰く「無理!」)

さとし   はあ、ありがとうございます。

嫁石川   どおいたしまして。あ。ごめんなさい。

      そろそろ、買い物いくから。ごめんなさいね、本当。

さとし   いえ、どおいたしまして。

嫁石川   じゃ、よろしくね。

さとし   こちらこそ。

嫁石川   じゃ、失礼します。


       石川さん(嫁)、去る。


さとし   なんだ?これ(CD)?


       さとし、プレステにディスクを入れようとする。(本番ではPSではなくジェニファーにいれようとした)
       インターホンがなる。


さとし   はーい。


       リラと真希がはいってくる。


さとし   よお。

リラ    ひさしぶりー。

真希    おひさしぶりー。

さとし   おひさしぶりい。

リラ    思ったより、全然きれいだな。

真希    きれいよね。

さとし   都心とは大違いだよ。

      この家賃で都内住んだらダメダメなのしかないよね。

真希    いい街じゃない。静かで。駅前もけっこういい感じだし。

さとし   でしょ。俺、相模大野好きなんだよね。

真希    リラ、後で駅ビル寄ろう。インポートショップ寄りたい。

リラ    いいけど。俺、映画館寄るし。

      あ、さとしも行かねえ?

さとし   今日は無理かな。もうちょっと荷物届くし。

リラ    なんかだいたいそろってんじゃない?

      しっかし、コンパクトに引っ越したな?

さとし   おれ、物集めたりしないし。

真希    いらないものみんな売っちゃうし。

リラ    じゃ、古淵に越せばよかったんじゃない?

さとし   いろいろあるんだよ。ノリってゆうか好みが。

リラ    そうか、俺なら合理的に古淵行くけどな。

さとし   本当に合理的に行くなら橋本でいいんだよ。

真希    あなたたちやけに相模原に詳しいわね。

リラ    何度も言うけど、オレら、こっちの高校行ってんの。

真希    あんた。高校行ってたの。

リラ    おいおい。最近はたまたま都内に用事多いだけで、

      いちおうこっちが地元なんだって。

      だから相模大野をオーノ(変な発音)とは言わない。

真希    何それ。

さとし   ネイティブな発音は「大野」

リラ    な?

真希    わかんない、それ。

さとし   「大野」、俺等はオーノとはいわない。な?

リラ    都心にいると発音変になるよ。

さとし   おまえ、発音気にしてたの?

リラ    これでもニュースキャスター志望だぞ。

さとし   その前にロレツと性格直したほうがいいんじゃないか?

真希    このキャラでどうして、ジャーナリストなのよ。

さとし   どっちかっていうとラッパーだろ。

リラ    どうして俺のマジメさがわからんかねー。

二人    スカスカ!

リラ    愛がないなー。

二人    スッカスカ!

リラ    でさー。家賃とかどうしてんの?

さとし   なんか、親父、余裕あるみたいだよ。

      勉強部屋作るより、借りる方が安くつくとかいってた。


リラ    わかんねーよな。お前の親父。

さとし   そうか?微妙にお前とキャラかぶてるぞ。

真希    じゃあ、わかんねーよ。

リラ    なんだおまえら。特に日向真希。

      お前、俺の連れの自覚あんのか。

真希    なんで「ツレ」なのよ。「彼女」といいなさい彼女と。

リラ    大人の世界にはなーイロイロ難しいルールがあるんだよ。

さとし   全然わかんねえよ。

      つうか、真希ちゃんいつのまにくっついたの?

真希    え?初対面ですでに彼女だったんだけど。

さとし   うそ?

真希    リラ。あんた一度頭バラそうか。

さとし   あ、俺フォローしないから。

リラ    まじで?

さとし   余計なこというと、もっと大変なことになりそうだし。

リラ    俺の高等かつ高潔な精神は誰にも理解できんようだな。

二人    すか。

リラ    なんだよ、ふたりして俺をいじめて。

さとし   そして、どこぞのねえちゃんに助けをもとめるわけか。

リラ    それは過去のはなし。今は真希ひとすじさ。

真希    なんかすかすかだなオイ。

リラ    ばか。おれの気持ちはいつもお前の方しか向いてないんだぜ。

      世界一お前を愛している俺を信じろって。

さとし   鳥肌もたちそうなほどにすかすかだな。

真希    やや、ぎっしりよ。コイツ微妙に本音だし。

リラ    な。俺ってギッシリ。

さとし   それよか。何しに来た?

リラ    おっと、お土産を持ってきた。

真希    重いのよねこれが。

リラ    戦利品だ。


       リラ、戦利品(一見ゲーム機)を出す。


さとし   すごいなこれ。

真希    ラジオ局がくれたんだって。

リラ    俺、こういうのたくさん持ってるし。

      どうせなら、引っ越したての部屋にいいかなって。

さとし   さんきゅー。こういうの自分で買わないもんな。

リラ    有名になるに連れて、モノは勝手に入ってくる。

真希    あんたじゃなくてお師匠さんじゃない?

さとし   真一さん、元気?(真一さん=娯誠粒真一)

リラ    大丈夫じゃない?体だけは丈夫だし。

さとし   あれで漫画家なのはいまいちわかんないよな。

      お前が弟子ってのもよくわからん。

リラ    俺はショータローさんの弟子のつもりなんだけどな。

真希    代役俳優?

リラ    うん。連中、実は同一人物っぽいけどな。

さとし   なにそれ。

リラ    止めとこう。

さとし   なんで?

リラ    この話は企業秘密だ。

      詳しくは第6回公演までとっておく。

さとし   お前、以外と淵源座思いだな。

リラ    いいか?人生なんて一つの物語だ。

真希    リラ?

リラ    同時に世界は複雑なドラマだ。

さとし   なんか、これに書いてあったような気がする。

真希    「チャーミーゴリラ外伝、東京ネコ」

さとし   プーくんのセリフだな。

リラ    感動的だよね。

さとし   でも、なんか商売の匂いがぷんぷんした。

真希    わたしも。

リラ    そうこう言っても、気付いたら巻き込まれている。

さとし   は?

リラ    まあいいや。で、最近どうよ。

さとし   最近って?

真希    そう言えば、雪江ちゃん落ちたの?

さとし   何言ってんだよ。今、そんな時期じゃないだろ。

真希    恋に季節は関係ないよね。

リラ    ねー。

さとし   うわっ、やらしい。

真希    で、どうなのジッサイ。

さとし   ・・・まるで、すすんでないよ。

リラ    なんでかなあ、お前いいやつなのに。

さとし   そうなんだよね。でも、それが問題なんだよね。

      俺、いい人なんだよ。

真希    さとしくんかわいそお!

さとし   そこ、泣くトコジャないし。

真希    じゃあ、なんなの。

さとし   いいひとと好きな人ってちがうのかなあ。

真希    たしかに。リラは悪い人だけど、好きなひとよ。

リラ    ハッキリ悪い人ってゆうな。

さとし   それは間違いない。

リラ    オウシット。

さとし   つうかまあ、電話友だちぐらいにしかなってない。

リラ    なんだ、結構進んでんじゃん。

さとし   進む方向が問題なんだよ。

真希    なんか中学生並な悩みね。

さとし   悩んでないけどオマイラがほじくるんだよ。

リラ    こんなに友だち思いな俺等をオマイラとは!

真希    きゃ、さとしくんひどい!

さとし   スカスカだな、おい。

リラ    いい加減、コクれば。

さとし   ばか、できるわけないだろ、あっちも受験生だし。

      ・・・だいたい、おれには無理だよお。

リラ    少年誌にも劣る発言だな。

真希    ガバっ!パクッ!で一発じゃない。

さとし   それはどっちかってゆうとはんざいじゃないか?

真希    狩猟民族ではないようね。

リラ    メモしとけ。

真希    了解。

さとし   なにそれ。

リラ    狩猟民族でないなら農耕民族の線があるのかな。

真希    電話友だちってとこにその節がありますな。

さとし   なんだよ農耕民族とか狩猟民族って。

真希    農耕民族の線で掘り下げましょうか、警部。

リラ    そうだな。では、彼の好みをきいてみよう。

真希    参考までに、生駒・・・智司君。

      君の女性のタイプはどんな感じかな。

さとし   は?

真希    好みですよ好み。

さとし   いきなり言われても。

真希    顔は?

リラ    確か、女優顔が好みだ。

真希    ほほお。性格は?

リラ    おとなしめで、しっかりものがいいとか。

さとし   なんで知ってんだよ。

リラ    刑事の勘ってヤツかなあ。

真希    いきあたりばったりの警部と違って、断定的ですねえ。

リラ    うん。私は絶対評価だからねえ。

さとし   とりあえず。その刑事ごっこは中途半端だからヤメロ。

真希    つっこみはまあまあ。

リラ    なら、天然ぼけとつきあえばいいのにね。

真希    ねー。

さとし   さっきからなんの話をしている。

リラ    才能の話だよ。

さとし   は?

真希    うまくいけばモッテモテな男性になれるのよ。

さとし   まさかおまえらマルチ商法か!

リラ    人聞きの悪いことをいうな。これはおれの使命だ。

さとし   はあ?

リラ    いいか。おれはショータローさんの弟子だ。

      よって、プロジェクトメルトダウンのルールで動く。

さとし   だから、わかんねえんだよ。メルトダウンとか。

リラ    なんていうかな、恋愛を楽しむコツかなあ。

さとし   楽しむとかの問題かな。

リラ    なんつーか神経すり減るしさあ、

      楽しくしなきゃやってらんなくない?

さとし   お前の口からそんな言葉がでてくるとはな。

リラ    まあ、要するに本気すぎてケガすんなよってとこかなあ。

真希    ほほおなにかてぬきのにほいがするわねえ。

リラ    いえ、日向真希様におかれましては、誠心誠意、

      忠誠をつくす次第であります。

さとし   すかすかもここまでくれば気持ちいいね。

真希    このノリに何度騙されたことか。

さとし   何回くらい?

真希    何回騙されたのかしら?

リラ    何回騙したんだろう。


       リラと真希、各々手で数える。
       真希は片手だが、リラは両手で足りないらしい。
       顔を見合わせ沈黙の名をかりたバトル。
       へんな空気になった中、さとしがなんとか回避しようとする。


さとし   あ、そうだ。さっきさ、お向かいの奥さん

      ・・・若奥さんにCDもらったんだよね。

       と、言って戦利品にセッティングする。
       ジャケットを見てリラが怪訝な顔をする。
       曲がかかる。と同時に何か走り込んでくる。
       歌のお姉さんである。


おねえ   良い子のみんなあ!元気にしてたかな!

      さあ!お姉さんと一緒に楽しい時間を過ごしましょう!

リラ    はーい!

おねえ   あれ?そういえばプーくんが見当たらないなあ。

      プーくーん?プーくーん!

さとし   あの、あなたお向かいの。石川さんじゃあ。

おねえ   ?

さとし   なにしてるんですか?

おねえ   そこの君。プーくん見て無い?

さとし   はあ?

おねえ   どこいったのかしら?

リラ    きっとどこかにかくれてるんだよ!(すかすかで)

おねえ   そうか。かくれんぼね!

真希    ・・・あのさ。このノリ何?

さとし   いや、お向かいの石川さんカッコ人妻20数歳のはずなんだけど。

リラ    違う!これは歌のお姉さんだ。

さとし   は?

真希    あん?

リラ    さとし、全て手後れなんだ。これは歌のお姉さんだ。

さとし   何を言ってるんだ。

真希    そうか。これは歌のおねえさんなのね!(なんちゃってびっくり)

さとし   なんなんだ。この勢いがある割にシュールな空間は!

真希    そう。やっぱり手後れだったんだ。

さとし   何を言ってるんださっきから。

おねえ   えーん。プーくんみつかんないよう。

さとし   しかも泣いてるし。いいよ、もう!歌のお姉さんでしょう。

      泣いちゃだめでしょ。

おねえ   ・・・うん。わたしがんばる。

さとし   うあああ(ぎっしりすぎて気持ち悪い)

真希    さとしくんきつそうね。

リラ    しょうがないさ。彼は見てはならないものをみてしまうのだから。

真希    何?

リラ    しー・・・お出ましだ。

おねえ   あ(ネコがどっか見てるときみたい)

       曲のテンションアップ。
       ボルテージあげてあげて、さげて、あげて。
       荘厳な感じでSE。
       同時に箱の中からプーくんが登場!
       騒々しい中、かっこよく名のる。

プーくん  プーくん!ぼくしゃあんしゃい!うっしどしー!(三歳になるように設定すること)

       さとし、対応不可の顔。

おねえ   キャー。プーくん。こんなところにいたのね。

プーくん  人さがしの基本は引き出しと本棚だね。

さとし   引き出しじゃないし、本棚でもないじゃん。

おねえ   (流して)箱の中とはテクニシャンね!

プーくん  ふ。ぼくにょ推理にかかれば、なぞは全てとけたあああ!

さとし   なんでひとりでそこへいける!

リラ    むだださとし。

      お前が心を開かない限り世界は元には戻らないんだ。 

真希    そんなに非常時なの?

リラ    いや、なんかタイミング的に言っちゃっただけなんだけど。

プーくん  そんなこっとはにゃい。今、世界の危機は君ひとりの肩に。

おねえ   じゃあ、これを。


       凄くしょぼい棒をわたす。(魔法ステッキぽくて「鋼鉄」と書いてある)


プーくん  さあ、勇者よ。

      世界の子供達のために、魔王(未定)を倒すのじゃ。(本番では魔王義久釈)

      よし。これも持ってゆけ!


       どう見ても百円玉なコインを渡す。 


リラ    まずはどこへ行かせましょう。

プーくん  ひとまずボクオフ唱和がいえないと話にならん。ボクオフ唱和!


       みなさん御一緒に


総員    きょうもぴちぴち。古淵駅な、まぶだちの感覚を持って、

      おいそれと少年には、ファッキンユアアス!却下。

      オウシットユーアークレージー、

      ハナからぎっしりすかすか、ほらたべてごらん。

      うっさいぼけ。たっしゃでな。でなおしてこいや。

      もっとよく磨け!まじでコクルな。

      勇気、友情、努力、勝利に自動車保険。

      責任なんてしるか!

      世界一の俺さ!

      ほれるなら今だ!

      愛してる今も!


       さとし、なんかつらそう。


プーくん  行くのだ勇者。世界の子供達のために。

さとし   もう、全然わかんない。

リラ    がんばれよ。

さとし   ここどこ?

真希    あなたの家じゃない?

さとし   何してんの俺。

プーくん  世界の子供達の為に魔王を倒しに行くのだ。


       さとし、つい、手許のコインとしょぼい棒をみる。
       なんか、脱力。


おねえ   何をためらっているの?愛しい人を救うために立ち上がって。

さとし   いま、世界の子供達の為にとか。

おねえ   何を言っているの。

      あなたが愛しい人を救うことが世界の子供たちのためになるのよ。

リラ    まあ、そういうことだ。

プーくん  さ。いってこい。

さとし   どこへ?

総員    「どこへ?」?

さとし   へ?

総員    ここでいいんだよ。

さとし   は?

プーくん  君の心の一番奥で、君の愛しい人が待っている!


       照明が、がっと変わる。


「ヴィーナス」第1場 完

VeNus 第2場前編へ続く

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